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電子戦(でんしせん、)は、電磁波にまつわる軍事活動を意味する。

電子戦とは、敵による電磁周波数帯域の利用状況を検知、分析した上で妨害や逆用する活動と自軍の電磁波の円滑な利用を確保するための活動を総称する。現代型の戦争ではレーダー無線通信が重要になってきており、各国の軍隊では電磁波をうまく利用することで戦闘を優位に進めようと、最新の電波に関わる軍事技術が開発され、スピンオフした電波に関わる軍事技術の例として、電子レンジOFDMスペクトラム拡散がある。火薬に代表される物理的兵器に代わって電子機器を利用した兵器が新兵器の主体を占めるようになっている。電子機器を利用した新兵器の例に、ステルス戦闘機やイージス・レーダーのようなフェーズド・アレイ・レーダーがある。電子戦は物理学的な電磁波の原理に支配されている。電磁波とは電界と磁界が連鎖的に伝播させる一連の波のことであり、電波や光波、紫外線や赤外線などは全て電磁波の一種である。電磁波はその周波数によって分類される。通信、レーダー、航法装置などに用いられる電波はその波長が1ミリメートル以上の電磁波であり、また光通信や赤外線映像装置などに用いられる光波は波長が1ミリメートルから100オングストロームの電磁波である。

歴史

初期の電子戦


電子戦の歴史は電磁波を通信として利用すると共に始まった。1895年にグリエルモ・マルコーニが無線電信を成功させ、電磁波による通信が戦争に用いられるようになった。最初の本格的な電子戦は日露戦争において行われた。1904年、日本海軍旅順のロシア艦隊に対して間接射撃をはじめた。しかしロシア軍は弾着観測に派遣されていた駆逐艦に対して電波妨害を行い、報告を妨害した。日本海軍もウラジオ艦隊の無線を傍受して行動を事前に察知し、作戦行動に利用することができた。

発展


第二次世界大戦においてはレーダー技術が発展し、イギリス本土航空戦マリアナ沖海戦に影響を与えた。レーダーに探知されない機体の開発が進んで現代のステルス機の基礎となった。ベトナム戦争においては米軍地対空ミサイル防空体制を充足してきた北ベトナム軍に対抗するために組織的な電波妨害を行った。1965年に電波妨害装置を実戦に使用してその有効性が発揮された。

湾岸戦争


湾岸戦争においては、多国籍軍によって高度な電子戦が展開され、イラク軍の通信や防空組織を破壊した。また防空指揮所や情報機関本部、軍司令部、配電所などを空爆したが、その際も電子戦支援機が地対空ミサイルを無力化することに大きく影響した。

分類


電子戦は、電子攻撃 (EA, Electronic Attack) 、電子防護 (EP, Electronic Protection) 、電子支援 (ES, Electronic Support) の3つに分類される。

電子攻撃


電子攻撃 Electronic Attack (EA) とは、敵が利用する電磁スペクトラムを能動的もしくは受動的に妨害、減殺するための妨害活動を指す。以前は電子対策ECM(Electronic countermeasures) と呼ばれていた。多くの近代的な電子攻撃の技術は高度な機密情報として扱われている。電子攻撃は、「能動的電子攻撃」と「受動的電子攻撃」に区分される。

能動的電子攻撃
* 電子ジャミング
* 電磁欺瞞(Electromagnetic deception)
* EMP
* 対レーダーミサイル
受動的電子攻撃
* チャフ
* 曳航デコイ
* 多様なステルス技術

電子防護


電子防護 Electronic Protection (EP) とは敵の電子攻撃活動から、友軍兵士、部隊、装備、作戦目的を保護する全ての活動を指す。電子防護は自軍のEAの影響を友軍が受けてしまうのを避けるためにも利用される。以前は電子防護手段 EPM (Electronic protective measures) 、または対電子対策 ECCM (Electronic counter countermeasures) と呼ばれた。電子防護は、能動的なものと受動的なものに分けられる。

能動的電子防護
* スペクトラム拡散のような技術
受動的電子防護
* オペレーターの教育、作戦戦術

電子支援


電子支援 Electronic Support (ES) とは戦場において受動的に電磁スペクトラムを利用し、友軍以外の対象を発見、識別し、潜在的脅威ないし標的の位置を特定するための活動である。敵の動きを事前に察知するために、敵の電磁放射を捜索、傍受、分析する活動を指す。以前は電子支援手段 ESM (electronic support measures) と呼ばれていた。電子支援は敵軍の戦場での位置特定のために使われ、電子攻撃・電子防護のためにも使われる。電子攻撃は電磁波の放射を伴うために敵から発見されることを前提とするが、電子支援は敵に存在や行為、意図を知られないよう努めて行なわれる。世界の多くの国の軍隊や情報機関が、有事での電子戦で優位となる戦術情報を得るために、平時から敵性国の電磁放射を傍受・分析することで電子装備とその運用に関する情報収集を継続的に行っている。

注記

参考文献


  • 防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房、2000年)
  • アメリカ合衆国軍統合参謀本部編(吉原恒雄、慶野義雄近藤重克加藤朗編訳)『英和和英最新軍事用語辞典』(三修社、1983年)
  • ジェイムズ・F・ダニガン著、岡芳輝訳『新・戦争のテクノロジー』(河出書房、1992年)

関連項目



戦闘
軍事学
電子工学
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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