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自殺の名所(じさつのめいしょ)とは、景勝地など著名な土地のうち自殺者の多い場所のことである。
近年は比喩的に、著名な土地に限らず自殺の多発地点をこの名称で呼ぶことがある 「自殺の名所」は平成19年6月8日閣議決定された自殺総合対策大綱中でも使われている言葉である()。しかしながらここには「自殺の名所や高層建築物等における安全確保の徹底や鉄道駅におけるホームドア・ホーム柵の普及を図る。」と書かれているので、高層建築物や駅のホームを自殺の名所とは呼んではいない。。
多発に至るプロセス
自殺の名所の類型としてよく見られるのは、断崖絶壁や深山幽谷といった観光地である。これらの場所では、仮に誤って転落や遭難したとしたら、生存の可能性はほとんどないような場所にいとも簡単に近寄れる。このような場所を本能的に恐怖を覚えたり忌避する人もいるが、そうであるがゆえに、逆に自殺志願者にとっては「確実に死ねる場所」として格好の立地条件となってしまう。これらの観光地は本来の意味でも「名所」であるために、もともと人が集まりやすく、その場所で自殺が多発して「自殺の名所」として有名になると各地から自殺志願者を引き寄せてくる悪循環が生じてしまう。(ウェルテル効果も参照)原因としては、自殺志願者の多くが所詮「多数の中の一人」という思いが強いという心理学的な影響もある後述にもあるように、ストレスの溜まる労働者は常にストレスが溜まりやすい環境に置かれているため。。つまり自殺の名所における典型的な報道の類型では、「犯罪者として紹介される場合」や「事業の成功者として紹介される」という完全に負け組型もしくは勝ち組型における報道例とはほとんど異なり、「あそこなら楽に死ねる」と「多くの人が亡くなっているから寂しくない」という心理学的な影響を指摘している研究者も存在する。
別の類型として鉄道路線、中でも日本に於ける三大都市圏のような大都市の通勤路線がある。これは、ストレスのたまった労働者が勤務等を終えて帰宅する途中に、衝動的にホームから電車の入ってきた線路内に飛び込むからである。これは自殺志願者が計画的に自殺するために訪れる前述の観光地とは対照的である。
予防術
「自殺の名所」という風評が立つと評判が悪化し、観光地の場合は地元観光業者の死活問題ともなりうるため、場所によっては自殺を思いとどまらせる文面の看板や立て札を地元の有志が費用を自己負担して立てることがある。また、「いのちの電話」などの人生相談団体の電話番号を書いたものと一緒に公衆電話を設置するところもある 。イギリスにおいては、自殺の名所とされる場所を政府が「ホットスポット」に指定し、予算を組んで同国内300ヶ所のホットスポットに地域住民や精神科医からなる危機介入チームを編成した。危機介入チームはパトロールの他にも、電話や看板の設置等で広報活動を行なっている。自殺志願者が看板を見て電話をかけてくると、直ちに現場に急行し保護と社会復帰に努める。介入の取り組みの結果、自殺の名所において自殺が激減し、国全体での毎年の自殺者数を10パーセント減少させた。鉄道路線の場合は、鉄道会社がホームドアを設置し飛び込みを防ぐ試みもある(転落事故の防止も兼ねる)が 、すべての鉄道路線に導入するには高額な費用や構造的な問題(車両の種類によってドアの位置が違う場合は設置できない)があるため、普及は進んでいない毎日新聞2010年12月10日夕刊。また「青い光は精神を鎮める」とプラットフォーム照明に青いLED灯を追加する路線もあるが、効果は未確認、及びその信憑性も定かではない。
現代では「ストレスのたまりつづける者」と「ストレスが溜まらずにすむ者」との著しい落差が存在するため、社会または組織的に予防がなされない限りにおいては予防は不可能と言ってもよい 。
自殺対策上で、自殺の名所等の手段を遠ざける手法は根本的な対策ではないが、周囲の介入のための時間を稼ぐことで一定の効果はあると考えられている。
「自殺の名所」と呼ばれている場所
日本国内
- 青木ヶ原樹海(山梨県)
- 東尋坊(福井県)
- 天ヶ瀬ダム(京都府)
- 三段壁(和歌山県)
- 足摺岬(高知県)
- 華厳の滝(栃木県)
- 中央線快速(東京都)</ref" onclick="window.open(this.href, '_blank'); return false;">http://www.ll.em-net.ne.jp/~noritake/Hizou/train/tyuou_train-02.htm}}</ref>
- 新小岩駅(東京都)
日本国外
- ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)- アメリカ合衆国
- エンパイアステートビル - アメリカ合衆国
- ナイアガラの滝 - カナダ-アメリカ国境地帯
- ビーチ岬 - イギリス ()
- クリフトン吊橋 - イギリス ()
- エッフェル塔 - フランス
- ハーバーブリッジ - オーストラリア
過去に「自殺の名所」と呼ばれていた場所
- 神戸市須磨(現・須磨区)
- 1928年の1年間に同地区において自殺者が67人、自殺未遂者が127人発生。須磨区の公式ウェブサイトに記載されている神戸市須磨区:須磨区の歴史よりが、理由は不明。
- 三原山(伊豆大島)
- 1933年1月と2月に実践女学校の生徒が火口へ投身自殺。2件とも同じ同級生が自殺に立ち会っていたことがセンセーショナルに報道され、この年だけで944人が投身自殺した。又この女生徒の事件が高橋たか子の『誘惑者』の題材となった。
- 高島平団地板橋区史編さん委員会『板橋区史 資料編 4近・現代』板橋区、1997年3月、pp878-881高島平事故防止対策協議会『“自殺名所”の呼び名を高島平からなくそう。』(パンフレット)、1980年10月。
- 現在は外廊下の開いているところに柵を張りめぐらせるなどの自殺防止対策が進んで自殺者は激減した。
ギャラリー
ファイル:SaiKo.jpg|青木ヶ原樹海
ファイル:Kegon falls nikko 2006-11-04.jpg|華厳の滝
ファイル:Tojinbo Oike 200507.jpg|東尋坊
ファイル:Cape Ashizuri.jpg|足摺岬
ファイル:Ogikubo-Platform4-Mirror.JPG|中央線快速の荻窪駅にある鏡。自殺防止のために心理的効果を狙って設置してある
ファイル:Ggb201152006.jpg|ゴールデンゲートブリッジ
ファイル:Suicidemessageggb01252006.JPG|ゴールデンゲートブリッジの入り口にある、カウンセリングを勧める看板。
ファイル:Looking Up at Empire State Building.JPG|エンパイヤーステートビル
ファイル:Paris 06 Eiffelturm 4828.jpg|エッフェル塔
脚注
参考文献