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相続税法(そうぞくぜいほう、昭和25年3月31日法律第73号)は、相続税及び贈与税について、納税義務者、課税財産の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めた法律である。相続税法(昭和22年法律第87号)を全部改正して制定された。

構成


  • 第一章 総則(第1条―第10条)
  • 第二章 課税価格、税率及び控除
    • 第一節 相続税(第11条―第20条の2)
    • 第二節 贈与税(第21条―第21条の8)
    • 第三節 相続時精算課税(第21条の9―第21条の18)
  • 第三章 財産の評価(第22条―第26条の2)
  • 第四章 申告、納付及び還付(第27条―第34条)
  • 第五章 更正及び決定(第35条―第37条)
  • 第六章 延納及び物納(第38条―第48条の3)
  • 第七章 雑則(第49条―第67条の2)
  • 第八章 罰則(第68条―第72条)
  • 附則

相続税・贈与税の課税根拠


相続税の課税における理論的根拠、及びこれに対応する課税方式としては、被相続人の遺産そのものに担税力を認める 遺産課税方式と、相続人が個々に遺産を取得する事実に担税力を認める 遺産取得課税方式の二つがある。前者は主に英米法系の国々で、後者は主に大陸法系の国々で採用されている。日本は後者の遺産取得課税方式を採用している。贈与税は、相続税を補完するために課される。相続や遺贈によって財産を取得した場合には相続税が課されるところ、被相続人がその生前に子供等へ自らの財産を贈与した場合には課税がなされないとすると、租税回避を誘発し、税負担の衡平を維持できなくなる。よって、生前に行われる財産の贈与についても課税することで、相続税を補完しているのである。

納税義務者


相続税の納税義務者は、原則として相続や遺贈により財産を取得した自然人(個人)であるが、人格のない社団や公益法人等が遺贈により財産を取得した場合で一定の要件を満たすときは、これらの社団・財団は、個人とみなされ納税義務者となる。従って、株式会社等が遺贈によって財産を取得しても、相続税は課せられずに法人税が課せられる。相続等により財産を取得した者が日本国内に住所があれば、非課税を除き全ての財産に相続税が課せられるが、住所が国外にある場合には国内財産のみに課税されることがある。具体的には、次の通りである。

相続税の納税義務者は、居住無制限納税義務者、非居住無制限納税義務者、制限納税義務者、特定納税義務者に大別され、その種類によって課税財産の範囲が異なる。

  • 無制限納税義務者(居住無制限納税義務者、非居住無制限納税義務者)は、国内財産、国外財産及び相続時精算課税適用財産
  • 制限納税義務者は、国内財産及び相続時精算課税適用財産
  • 特定納税義務者は、相続時精算課税適用財産

なお贈与税も、特定納税義務者と相続時精算課税適用財産を除き、同様な取り扱いになっている。

課税物件


  • 相続税
    • 本来の相続財産(現金・預貯金、有価証券、不動産や特許権等、債権、書画骨董品など金銭で見積もることのできる経済的価値のある遺産)
    • みなし相続財産(生命保険金等、退職手当金等、生命保険契約に関する権利など)
    • 生前贈与財産(相続開始前3年以内、相続時精算課税制度)
    • 非課税財産(墓所・仏具、生命保険金や退職手当金の内一定の限度額、一定枠の弔慰金など)
  • 贈与税
    • 本来の贈与財産(相続税と同く金銭で見積もることのできる経済的価値のある財産)
    • みなし贈与財産(生命保険金等、低廉譲渡受贈益、債務免除益など)
    • 非課税財産(扶養義務者からの生活費や教育費、相続開始年分の贈与、離婚による財産分与、社交上必要な香典や見舞金など)

課税標準と税額


  • 相続税の基になる課税財産(課税価格)は、次の算式で計算される。

本来の相続財産+みなし相続財産-非課税財産+相続時精算課税による贈与財産-債務-葬式費用+直前3年間の生前贈与財産

  • 各人の課税価格の合計額が次の算式で計算される遺産に係る基礎控除額以下である場合には、相続税は課税されない。

5,000万円+1,000万円×相続人の数※
※相続人の数については、相続の放棄があった場合には放棄がなかったものとして人数計算をし、被相続人に養子(特別養子等を除く)がいる場合には養子は2人まで(実子がいる場合は1人)しか算入されない。

  • 各人の課税価格の合計額から基礎控除を控除して課税遺産総額を求め、実際の遺産の分割比率にかかわらず、課税遺産総額を民法の法定相続分に従って分割したものと仮定計算される各人の遺産取得額に税率を乗じた相続税額を合算する(相続税の総額)。相続税の総額は実際の遺産の分割比率に応じて按分され、相続税の2割加算、贈与税額控除や配偶者の税額軽減特例などが加味され、各人が納付すべき相続税額が算出される。

  • 贈与税の課税財産には本来の財産とみなし贈与財産があり(非課税財産は除く)、原則として1暦年の贈与税の課税価格から基礎控除(110万円)を控除し、税率を乗じて納付すべき贈与税額を算出する。

申告と納付


  • 相続税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納税をしなければならない。金銭で一括納付が原則だが、一定の要件のもとに延納や物納が認められる。申告先は、相続人の住所地の税務署ではなく被相続人の住所を管轄する税務署である。
  • 贈与税は、贈与の年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告と納税をしなければならない。金銭で一括納付が原則だが、一定の要件のもとに延納が認められる。申告先は、贈与による財産取得者の住所地の税務署である。

関連項目



日本の法律
日本の税法



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』