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強制通用力(きょうせいつうようりょく)とは、貨幣において、額面で表示された価値で決済の最終手段として認められる効力をいう酒井良清著 『金融システム 第3版』 有斐閣アルマ、2006年、87-88頁。法律により強制通用力が付与された貨幣を通貨あるいは法貨(法定通貨)という。

概説


強制通用力を認められた貨幣による決済は、額面で表示された価値の限度で最終的な決済と認められ、受け取る相手側はこれを拒絶できないことが国家により保証されている酒井良清著 『金融システム 第3版』 有斐閣アルマ、2006年、87-88頁(ただし、債権債務の成立時期について注意を要する)。強制通用力は、英国において1844年銀行条例イングランド銀行券に世界で初めて認められたとされる日本銀行金融研究所編 『新しい日本銀行 増補版』 有斐閣、2004年、5頁

なお、かつての本位貨幣(金本位制下では金貨)には無制限の強制通用力があった。このような本位貨幣のことを「無制限法貨」と呼ぶ。また「硬貨」という言葉は本来はこの無制限法貨であるところの本位貨幣を表すことばであった。これは経済学でハードカレンシー(国際決済通貨)の訳語である硬貨と同義であるために使われた言葉である。国際決済を考えた場合、信頼性の低い通貨(ソフトカレンシー:軟貨)の場合、紙幣では決済が出来ないが、本位貨幣である金貨や銀貨であれば、国際間の決済にも無制限の通用力を持っていたことに由来する。

日本


日本においては、日本銀行券紙幣・お札)については無制限の強制通用力、貨幣新貨条例貨幣法上の補助貨幣、臨時通貨法上の臨時補助貨幣通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律における貨幣)については一定限度での強制通用力が認められてきた。強制通用力を有する貨幣による支払いは最終的なものであり、受取人は受け取りを拒否することができず、これにより決済は完了する(支払完了性)日本銀行金融研究所編 『新しい日本銀行 増補版』 有斐閣、2004年、36頁。なお、紙幣・貨幣に強制通用力があることは取引の成立を強制するものではない点に注意を要する(契約締結の自由)。貨幣による支払いは債権債務が存在していることが前提であるから、例えば個人商店などの対面販売において、客に商品を売るか売らないかは店の自由裁量なので理由の如何を問わず店は「あなたには売らない」ということができる。この場合、売買契約自体が成立していない以上、店は貨幣の受け取りを拒むことができるし、商品を買主に引き渡す義務もない。ただ、一般的に取引で強制通用力を有する貨幣が支払手段として機能するのは、貨幣には富として蓄えられる価値の保蔵という機能があるからであり、また、強制通用力を有する貨幣には誰にでも受け取ってもらえるであろうという一般受容性が認められるためとされる(一般受容性については、日本銀行金融研究所編 『新しい日本銀行 増補版』 有斐閣、2004年、36-39頁を参照)。

有効に成立・存続している債権債務の弁済に強制通用力を有する貨幣を充てたときは本旨弁済となり、その受領を拒絶するときは債権者は受領遅滞の状態となる。

日本銀行券の強制通用力


日本銀行券には無制限の強制通用力が認められている(日本銀行法第46条第2項)。特約や慣習のない限り、100万円の債務全額を千円紙幣で支払ったとしても本旨弁済となる。

硬貨の強制通用力


硬貨の場合通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条により、額面の20倍まで強制通用力を持つ。すなわち一回の決済につき同一額面の貨幣が21枚以上ある場合、強制通用力はなく、相手は受け取りを拒否することができる。例えば、十円硬貨15枚と百円硬貨15枚の計30枚は同一額面では20枚を超えていないので1,650円として強制通用力があるが、一方五十円硬貨33枚(1,650円分)には強制通用力がない。飲食店での飲食後の支払いや借金の返済など義務的に支払う必要がある場合を想定すると、例えばもし支払うべき者が硬貨しか持ち合わせていなければ、計算上金額は足りていたとしても、硬貨の通用制限を根拠とした受けとり側の拒否によって、支払いができないという事態が理論上生じうる。

関係法令


日本銀行法

第5章 日本銀行券

(日本銀行券の発行)

第46条 1.日本銀行は、銀行券を発行する。

2.前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律

(法貨としての通用限度)

第7条 貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する。

脚注



日本の経済
通貨制度



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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