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『完全自殺マニュアル』(かんぜんじさつマニュアル)とは、鶴見済の著書である。1993年(平成5年)7月7日に、日本の太田出版より初版が発行され、以後重版を繰り返し、100万部以上を売上げる大ベストセラーになった。
- キャッチコピーは、「日本でただ一つの『コトバによる』自殺装置。」である。
概要
自殺の方法の説明、分析を行った内容で、著者の鶴見は翌年、読者からの反響やマスコミの報道をまとめた『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』(太田出版)を出版した。
内容
本書には、服薬(若しくは服毒)・首吊り・飛び降り・自刃(切腹、リストカットなど)・列車等への飛び込み(轢死)・ガス中毒・入水・感電・焼身・凍死・餓死などの自殺手段のほか、見苦しさ・苦痛・致死度・手間などを項目別に髑髏印をつけ、実際に自決する時のリスクなどを具体的に記載している。ただし、2007年ごろから蔓延した練炭自殺や硫化水素自殺に関しては言及されておらず、自殺を遂行したのちに生じうる様々な費用などに関しても言及されていない。また、銃や青酸化合物を使う自殺方法については『入手困難』という理由から軽く触れるにとどめられている。記載内容は、読者に自殺を促す項目も、それを阻止する項目もなく、極めて客観的である。あるのは自殺の具体的な手段と、死に至る経過と結果のデータ、様々な自殺者の死に至るまでの生きる苦しみの記述などである。
前書きには、自殺に否定的な世の中に「なぜ生きなければならないのか」と言う問いかけがある。「おわりに」では「こういう本を書こうと思った理由は、強く生きろ、自殺は弱いもののすることだ、などということが平然と言われている生き苦しい世の中に風穴をあけて、ちょっとは生きやすくしたいからだ」と、その狙いを明記している。
巻末には、本書発行前(1993年(平成5年)以前)の自殺データが詳細に書いており、自殺統計データとしての実用的な部分がある。
なお服薬自殺に関しては、本に紹介されている一般用医薬品は日本では製造中止等で入手不可となっていたり、処方箋医薬品も現在の日本で非常に入手困難になった物が殆どである。(2012年(平成24年)1月現在、本書の改訂はまだ一度もない)。また致死量においても効果を伴わず、マニュアル通りに決行したもののまったくの未遂に終わったという体験者も少なくなく、服薬自殺の内容は真実性・結果を保証しかねる部分が多い。
有害図書指定問題
1993年(平成5年)の発行当初は、書店の店頭での立ち読みや購入、公立図書館でも開架図書にて未成年者を含め、誰でも閲覧・貸し借り出来る状態だった。1999年(平成11年)以降、その前年頃から突然広がった有害図書指定のため、『18歳未満の方の購入はご遠慮願います』と書かれた帯が付けられ、(特に未成年者に)立ち読みさせない為、エロ本のようにビニールパックされて販売されるようになった。東京都青少年の健全な育成に関する条例では、第8条1項にて『販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し…(中略)著しく自殺若しくは犯罪を誘発するもの』として、完全自殺マニュアルが不健全図書に指定されている。又、公立図書館からも「完全自殺マニュアル」が開架図書から撤去されつつある。
評価
一部は、「自殺者を出した問題作」と批判をしている東京都「有害図書」指定を見送り 毎日新聞 1999年9月3日・朝刊より 齋藤学の談話切通理作「諸君!」94年7月号。一方では「死に向き合う事で生きようと思った」と絶賛する意見もあり黒木俊秀、田代信維『完全自殺マニュアル』を愛読する青年たち 臨床精神医学 第27巻第11号「覚醒剤――やるかやらないか自分で判断させろ」『学校を救済せよ』尾木直樹・宮台真司、学陽書房、問題作によく見られる「賛否両論」である。また、書籍に記載されていた薬物致死量のデータに関しては、正確性に欠けるという指摘も受けたが、それに対して著者である鶴見済は、初版発行時の時から予め断りを入れた上で、薬物の致死量には人の体重や薬物耐性によって幅があり、文献によっても致死量などの数値が異なるため、複数の文献を元に割り出した推定値である、と書籍の中でハッキリ記述・明記してある。
脚注
関連項目