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動産質(どうさんしち)とは、動産を目的物とする質権のことである。
概説
動産質は約定担保物権であるので、通常は設定者と質権者との間の質権設定契約によってなされる。
ただし、民法192条によって即時取得される場合もある(即時取得の場合については後述を参照)。
そして、質権設定契約は要物契約である点は、民法176条における物権変動についての意思主義の例外である点に着目しなければならない。
すなわち、要物契約であることによって、質権が留置的な効力を持つため、質権者が目的物の占有を取得しない限り、権利の取得はあり得ないのである。
つまり、質権設定における引渡しには占有改定は含まれないのである(民法345条)。
また、質権者は質物に対して善管注意義務を負い、動産質権に対して転質権を設定することができる。
効力
民法350条および民法296条より、動産質権にも不可分性があるので、被担保債権の全額弁済が完了するまで、その質権の効力は目的物すべてに対して効力が及び、被担保債権の範囲も抵当権の場合とは異なるため、最後の2年分に限られるという制限はない。
従物については、従物の引き渡しが行われた時点で質権の効力が及ぶと解されるため、引き渡されていない場合には質権の効力は従物には及ばない。
動産質についての特殊規定
対抗要件
対抗要件は占有を継続することである。すなわち、質権者が占有を失えば、それによって第三者に対抗することはできない(民法352条)。
したがって、物権的請求権を認めてしまうと質権者の保護が過剰となってしまうため、物権的請求権を認めることは妥当ではないといえる。
占有訴権
占有侵奪者に対して、動産質権者には占有訴権のうち占有回収訴権のみ、それも目的物を侵奪された場合にのみしか認められていない。
それは民法353条の制定趣旨が、動産質権の対抗要件について定めた民法352条とあいまって、質権自体に基づく取戻権を禁止しているからである。
弁済方法
弁済の充当をより簡易にするために、民法355条によって、同一の質物上に他と競合する質権の順位が規定されている。
また、民法354条によって、競売によらない弁済方法が認められている。
質権者は優先弁済権を有しているため、質物の競売による売却代金から優先弁済を受けることができるが、弁済期到来前に流質契約をすることは民法349条により禁止されている。
動産質の即時取得
即時取得の要件は、質権者が、そのものが他人の所有物であることをについて善意無過失である場合である。
例えば、他人の所有物を質屋に持っていき、それを担保にお金を借りた場合には、それが善意無過失であれば、質権を即時取得することが可能である。
目的物の使用・収益
債務者の承諾がない場合の目的物の使用・収益は、目的物の保存に必要な範囲でのみ認められる。
質権者がこの範囲を超えて、目的物を使用・収益した場合には、質権設定者は消滅請求をすることで質権を消滅させることができる(民法350条、民法298条3項)。
参考文献
関連項目