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児童養護施設(じどうようごしせつ)とは、児童福祉法に定める児童福祉施設の一つ。児童福祉法41条は、「児童養護施設は、保護者のない児童乳児(満1歳に満たない者)については、別に乳児院があるため入所しない。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を入所させることもある。、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定義する。児童相談所長の判断に基づき、都道府県知事が入所措置を決定する児童福祉施設である。略して養護施設(ようごしせつ)とも称するその名称から養護学校や障害者入所施設などと混同されやすいが、別のものである。

「環境上養護を要する」児童とは


  • が死別した児童
  • 父母に遺棄された児童
  • 家庭環境不良の児童(父母の行方不明、長期入院、拘禁離婚再婚、心身障害など)
  • 保護者がいても児童虐待を受けている児童

以上のように、「保護者の健康上・経済上の理由などで監護を受けられない児童・保護者の元で生活させるのが不適当な状況にある」と児童相談所が判断した児童をいう。

施設の概要


入所対象者は、1歳以上18歳未満の幼児(満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者)及び少年(小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者)である。場合によっては20歳まで延長できる。乳児(1歳未満の者)は乳児院への入所となる。2005年(平成17年)の児童福祉法改正によって、安定した生活環境の確保などの理由で特に必要な場合は、乳児も入所させることもできるようになり、同じように乳児院では1歳以上の幼児を入所させることができるようになった。

厚生労働省「社会福祉施設等調査」では、2008年10月1日現在、児童養護施設は569施設、入所定員は33,994人、在所児(者)数は30,695人(在所率90.3%)である。施設では児童指導員保育士等が働いており、職員数は14,892人。
厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査」では、2008年2月1日現在、入所児童の平均年齢は10.6歳、平均入所期間は4.6年である。

また、

  • ひとり親家庭の保護者がやむをえない理由(病気・負傷など)で児童を養育できなくなったときの「ショートステイ」
  • ひとり親家庭の保護者が残業などで帰宅が恒常的に夜間にわたるとき、放課後に児童を通所させ、生活指導・夕食の提供などを行う「トワイライトケア」

などを行っている施設も増加傾向にある。

以前は「孤児院」と呼ばれていたが、現在はむしろ孤児は少なく、親はいるが養育不可能になったため預けられている場合が圧倒的に多い。中でも、虐待のため実の親から離れて生活をせざるを得なくなった児童の割合は年々増加している(2008年2月の調査では53.4%)。

歴史


施設の分類



児童養護施設はその形態で大きく分けて大舎制のもの、中舎制のもの、小舎制のもの、またグループホームがある。
各児童養護施設形態の内訳は、全国で大舎制が370施設(75.8%)を占め、次に小舎制が114施設(23.4%)、中舎制が95施設(19.5%)である。(平成19年度社会的養護施設に関する実態調査(厚生労働省))

大舎制
大舎制が最も一般的な施設形態であり、1舎につき20人以上の児童が住んでいる。特徴として、一つの大きな建物の中に必要な設備が配置されており、一般的には一部屋5人~8人,男女別・年齢別にいくつかの部屋がある形になっており、食事は大きな食堂で一緒に食べる。共同の設備、生活空間、プログラムのもとに運営されているため、管理しやすい反面、プライバシーが守られにくい、家庭的雰囲気が出しにくいなどの問題点を抱えている。
中舎制
中舎制は、1舎につき13人から19人の児童が住んでいる。特徴として、大きな建物の中を区切りながら、小さな生活集団の場を作り、それぞれに必要な設備を設けて生活している。
小舎制
小舎制は、1舎につき12人までの児童が住んでいる。特徴として、一つの施設の敷地内に独立した家屋がいくつかある場合と、大きな建物の中で、生活単位を小さく区切る場合があり、それぞれに必要な設備が設けられている。大舎制に比べると職員配置など難しい点もあるが、生活の単位が小集団であるために、より家庭的な雰囲気における生活体験を営むことができる。
ユニットケア(小規模グループケア)
2004年から制度化されたもので、原則として定員6名である。小舎制に含まれる。できる限り家庭的な環境の中で、職員との個別的な関係を重視したきめ細かなケアを提供していくものである。2009年度は全国で403箇所(1施設で複数設置を含む)

グループホーム(地域小規模児童養護施設)
2000年から制度化されたもので、原則として定員6名である。本体の児童養護施設とは別の場所に、既存の住宅等を活用して行う。大舎制の施設では得ることの出来ない生活技術を身につけることができ、また家庭的な雰囲気における生活体験や地域社会との密接な関わりなど豊かな生活体験を営むことができる。2009年度は全国で190箇所(1施設で複数設置を含む)

社会的養護の他の施設等の類型


児童養護施設は、社会的養護の施設等の中心的な類型である。社会的養護とは、児童福祉法に基づいて、保護者が養護できない児童を、社会の責任で公的に育てる仕組みであり、児童養護施設のほかに、乳児院情緒障害児短期治療施設児童自立支援施設母子生活支援施設自立援助ホーム(児童自立生活援助事業)、里親ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)がある。

問題点と課題


  • 施設で働く職員(先生)は、子供達の幸せを願い、奉仕と教育の精神を持ってこの仕事を選択した保育士や児童指導員がほとんどだが、まれに倫理意識が欠けている関係者がおり、恩寵園事件は、児童養護施設における最も悪質な虐待事件として報道された。また、児童間でも、いじめが行なわれることがある。そのため、平成20年の児童福祉法改正で、被措置児童虐待の通報制度が設けられ、虐待を発見した者や、虐待を受けた児童は、児童相談所等に通報又は届出できることとなった。(児童福祉法第33条の12)
  • 世間(被害者)への認知度が低い。一般社会において虐待を受けている幼児・子供が児童養護施設の存在を知り得るのは極めて稀である。そのため、被害者は『ひたすら虐待に耐える事』しかできないケースが殆どである。(児童虐待の通報先である児童相談所は、全国共通0570-064-000の電話番号で、その地域の児童相談所に電話がつながる。)

退所後の生活


1973年以降、特別育成費の支給によって入所児童の高校などへの進学が増え、厚生労働省の2008年調査では、施設入所者の中学卒業後の98.5%が高等学校等(専修学校、職業訓練施設も含む)に進学している。また、高校卒業者の18.2%が大学等(短大、専修学校、職業訓練施設も含む)に進学している。(日本全国は68.6%(平成21年学校基本調査(文部科学省))。高校進学率は一般化し、大学進学率も年々高まっているが、大学進学は学費の面で厳しい場合も多い。高卒後の就職は、73.4%となっている。

児童養護施設入所経緯のある著者の実体験の小説


『本当にあった児童施設恋愛』(2005年)著者:中島省吾 中日出版社(愛知県郷土資料)

脚注



関連項目


外部リンク



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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