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健康保険組合(けんこうほけんくみあい、略称:健保組合)は、国が行う健康保険事業を代行する公法人である。監督官庁は厚生労働省の地方支部局である地方厚生(支)局。上部組織として健康保険組合連合会がある。また、後述の総合型健康保険組合には、根拠法令なき任意団体としての上部組織として総合健康保険組合協議会もある。
健康保険組合で行っている健康保険制度は、組合管掌健康保険(通称:組合けんぽ)と呼称される。
組合管掌健康保険
健康保険組合を企業が単独で設立する場合(単一型健康保険組合)は700人以上、同業種の複数の企業が共同で設立する場合(総合型健康保険組合)は3000人以上の被保険者が必要となるため、主に大手企業やそのグループ企業の社員が加入している。平成19年の厚生労働白書によれば、2006年3月時点で約3000万人が組合健保に加入している。2010年4月1日現在の健保組合数は1462で、年々その数は減少傾向にある。
設立
健康保険組合の設立には厚生労働省が定める設立認可基準に適合し、将来にわたって安定した事業運営が見込まれることが必要であり、申請を行えば必ず設立できるというものではない。近年は2008年10月に1組合が設立を認可されたが、年間の設立組合は平均1ないし2程度と、その審査は厳格である。健康保険法に定める設立の申請を行う前に入念な審査が行われ、最終的に認可基準に適合した者のみが認可申請を行うことができる。正確に述べるならば、申請は誰もが行える法定手続きであるが、国の事業を代行する公法人としてふさわしい設立母体か否かといった点について確認すべき事項が多岐に渡るため、申請を受けてすみやかに判断することが現実的に困難となる。また、国が設立を認めない判断を行った場合、市場における当該企業の株価の暴落といった副作用を招く恐れもあるため、事前に確認を行ったうえで、基準を満たしていると判断された者のみが申請を行う手法が慣例となっている。基準を満たさない場合は、申請者側からの事前審査辞退という形で完結することとなり、表沙汰となることはない。このため、セレモニーたる申請が却下された事例は一度もない。
諸問題
- 健康保険組合は、従業員やその家族である被保険者や被扶養者の利益・福利厚生の充実を図ることを目的に設立するものである。生活習慣病など疾病予防の活動を積極的に行い、従業員等の健康増進とともに医療費や保険料を抑えることができるという、スケール・メリットを生かした活動が期待されてきた。しかしながら、採算性を度外視して、企業や業界の価値を高めるためのツールとして設立を目論むケースが多く、政治献金や組織票と引き換えに族議員(元厚労省幹部等)らを介した不当な圧力・口利きが横行するなど、政治腐敗の温床ともなっている。
- 近年の急速な高齢化等の影響による高齢者医療制度への拠出金の負担増や、企業の経営合理化等による解雇や給与水準(標準報酬月額)の引き下げに伴う保険料収入の減少等により、経常収支が赤字に陥る健康保険組合がほとんどである。拠出金の増加等により、保険料率が政府管掌健康保険(現・協会けんぽ)を上回り、解散に追い込まれる組合が多発することが予想されており、一部の投資家や市場関係者の間では、リスクと捉えて敬遠する動きも見られ、皮肉にも企業にとってマイナス効果を与える要因ともなりつつある。近年の大規模な組合では、セイノーホールディングス傘下の西濃運輸などで構成される西濃運輸健康保険組合(加入者57,000人)が2008年8月1日付けで解散し、政府管掌健康保険に移行した。この西濃運輸健康保険組合は、各地に保有していた保養施設等を売却することなく解散したため、実質的な不良債権を政府管掌健康保険が引き継ぐ事態となった。
- 決算期に「健康保険組合の何割が赤字」と報道され、健保組合のあり方が議論されている。健康保険組合は、法定給付費等の支出が増加し、現在の保険料率では保険運営できなくなる恐れがある場合、組合の意思決定機関である組合会に保険料率の引き上げを諮って承認を受け、適切な保険料率とすることが公法人として求められる姿である。適正な保険料率を設定できれば、一般的に、経常収支が赤字となることはなく、積立金等を取り崩すことなく健全な保険運営が可能となる。もっとも、保険料率は法令でその上限(100パーミル)が設けられており、また、保険料率が全国健康保険協会を上回ると財政窮迫組合とされ、指定組合として財政健全化計画を厚生労働省に提出し、実質上の管理下におかれることもある。これらの事情を勘案しても運営していくことが困難な場合等に解散することとなる。しかし、全国健康保険協会の保険料率を大きく下回る組合であっても、この問題に含まれているケースが多く、こうした議論を抜きに国全体の医療費適正化論を進めることは適切でない。
関連項目
外部リンク