ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチ 遺言

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ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチJohann Heinrich Pestalozzi, 1746年1月12日 - 1827年2月17日)はスイスの教育実践家。一部の研究者は、「ペスタロッチー」と表記。フランス革命後の混乱の中で、スイスの片田舎で孤児や貧民の子などの教育に従事した。活躍の舞台として、ノイホーフ、シュタンツ、イフェルドン、ブルクドルフが有名である。活躍の場所は、スイス各地にまたがる。

人物


基礎的なものから高度なものへという、直観教授、労作教育の思想は、当時のヨーロッパでは高い知名度を持ち、多くの期待を寄せられた。特に当時のドイツからは様々な人物が、教えを乞いに彼のもとを訪れた。なかでも、フリードリヒ・フレーベルヨハン・フリードリヒ・ヘルバルトがその教育史上の意義としては群を抜いて有名であり、また重要である。ペスタロッチの教育の実践は主として初等教育段階のものであったが、それをさらに幼児教育へと応用、展開したのはフレーベルの功績であり、また大学教育の場での教育学へとそれを整理、発展させたヘルバルトの功績も大である。
初等教育のやり方の礎は、ほとんど彼によって築かれたといってもよい。

著書に、『隠者の夕暮』(1780年)、『リーンハルトとゲルトルート』(1781-87年)、『ゲルトルートはいかにその子を教えたか』(1801年)、『白鳥の歌』(1826年)などがある。『隠者の夕暮』は、そのタイトルから晩年の遺作のように思われがちだが、初期の教育実践で失敗した後の自己告白である。
また、同時代イギリスで、工場経営者ながら、幼少の子どもの工場労働を止めさせ、性格形成学院を設立した空想的社会主義者であるロバート・オウエンも、彼の学校を訪問したことがある。

研究者


日本の教育界では、盛んに研究された外国の教育思想家、実践家のトップである。戦後の代表的な教育学者のひとりで、広島大学の初代学長を務めた長田新(おさだあらた)は、ペスタロッチの研究者である以前に、その信奉者であり、没後遺言により、彼の墓は、スイスのペスタロッチの墓の傍らに作られた。長田新の弟子、荘司雅子はフレーベルの研究者として有名。「子どもの権利条約」の元になる子どもの権利という概念を第二次世界大戦のさなか、ポーランドのワルシャワゲットーの中で、ユダヤ人の孤児たちの孤児院院長をしながら提唱したヤヌシュ・コルチャックは熱烈なペスタロッチ信奉者でもあった。生涯最初の国外旅行にスイスにでかけ、ペスタロッチの活躍の舞台を訪ねて回ったり、彼の主著をもじって自著のタイトルにしたりした。

岡山県苫田郡鏡野町は、知・徳・体の調和的発達と弱者への配慮ある教育を提唱したペスタロッチに着目して、「日本のペスタロッチタウン・鏡野」を宣言。ペスタロッチ像を建て、町立図書館をペスタロッチ館と名づけ、その思想の普及と継承に勤めている。ペスタロッチの像を建てている小中学校も少なくはない。ただ、その著書や参考書は、近年出版事情もあって、入手できるものが僅かになっている。

影響


  • 興亜工業大学(1942年、現在の千葉工業大学)にはペスタロッチの教育思想の影響が色濃く反映されている。

主要な著作



  • 『リーンハルトとゲルトルート』Lienhard und Gertrud. 4 Bände 1781 - 1787
  • 『隠者の夕暮』Die Abendstunde eines Einsiedlers. 1780
  • 『クリストフとエルゼ』Christoph und Else. 1782
  • 『立法と嬰児殺し』Gesetzgebung und Kindermord. 1783
  • 『然りか否か』Ja oder Nein? 1793
  • 『人類の発展の歩みについての私の探究』Meine Nachforschungen über den Gang der Natur in der Entwicklung des Menschengeschlechts. 1797
  • 『寓話』Fabeln. 1797
  • 『ゲルトルートはいかにその子らを教えるか』Wie Gertrud ihre Kinder lehrt.1801
  • 『我々の時代と私の祖国の無垢と真面目さと高貴さについて』An die Unschuld, den Ernst und den Edelmut meines Zeitalters und meines Vaterlandes. 1815
  • 『白鳥の歌』Schwanengesang. 1825
  • 『ペスタロッチー全集』全13巻 平凡社 1959-60年

参考文献


  • Pestalozzi, Johann Heinrich: Pestalozzi. Sämtliche Werke. Kritische Ausgabe. Begründet von Artur Buchenau; Eduard Spranger; Hans Stettbacher. Berlin/ Zürich: Gruyter 1927-1996
  • Pestalozzi, Johann Heinrich: Pestalozzi. Sämtliche Briefe. Herausgegeben vom Pestalozzianum u. der Zentralbibliothek Zürich, bearbeitet von Emanuel Dejung; Hans Stettbacher. Zürich: Zeller 1946-1971
  • Pestalozzi, Johann Heinrich: Pestalozzi über seine Anstalt in Stans. Mit einer Interpretation und neuer Einleitung von Wolfgang Klafki. Weinheim/Basel: Beltz 1997 (7)
  • Klafki, Wolfgang: Pestalozzis „Stanser Brief“. Eine Interpretation. In: Pestalozzi, Johann Heinrich: Pestalozzi über seine Anstalt in Stans. Mit einer Interpretation und neuer Einleitung von Wolfgang Klafki. Weinheim/ Basel: Beltz 1997 (7), S. 39-71
  • Kraft, Volker: Pestalozzi oder Das Pädagogische Selbst. Bad Heilbrunn 1996
  • Wulfmeyer, Meike: Entfaltung der Menschlichkeit. Johann Heinrich Pestalozzis (1746-1827) Einflüsse auf den Sachunterricht. In: Kaiser, Astrid/ Pech, Detlef (Hg.): Geschichte und historische Konzeptionen des Sachunterrichts. Basiswissen Sachunterricht Band 1. Baltmannsweiler: Schneider 2004, S. 65-68
  • Kuhlemann, Gerhard/Brühlmeier, Arthur: Johann Heinrich Pestalozzi, Band 2 in der Reihe "Basiswissen Pädagogik, Historische Pädagogik", herausgegeben von Christina Lost/Christian Ritzi. Schneider Verlag Hohengehren GmbH 2002

  • 片山忠次『ペスタロッチの幼児教育思想の研究』法律文化社 1984年
  • 長尾十三二・福田弘『ペスタロッチ Century Books-人と思想』清水書院 1991年
  • パウル・ナトルプ『ペスタロッチ その生涯と理念』東信堂 2000年
  • 乙訓稔『ペスタロッチと人権ー政治思想と教育思想の連関』東信堂 2003年
  • J.H.ボードマン『フレーベルとペスタロッチ-その生涯と教育思想の比較』東信堂 2004年

関連項目


外部リンク



スイスの教育学者
スイス・フラン紙幣の人物
1746年生
1827年没



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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