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アリアン(Ariane, アリアーヌ)は欧州宇宙機関 (European Space Agency, ESA) が開発した人工衛星打ち上げ用ロケットである。
最初のアリアン1の打ち上げを1979年12月に成功させ、以後アリアン3、アリアン4、アリアン5と大型化したロケットを次々と開発して商用打ち上げを推進させてきた。開発後のアリアンロケットの製造・打上げはアリアンスペース社を設立して委託している。2003年4月現在の打ち上げ実績は全形式で159回、うち成功150回と信頼性も高く、おそらくビジネスとしてもっとも成功したロケットということができる。
アリアンの名前はギリシア神話に登場する、クレタ島の王ミノスの王女で、テセウスを迷宮から助けたアリアドネのフランス語読みからとられた。
打上げはフランス国立宇宙センター (CNES) の、フランス領ギアナに設けられたクールー宇宙センターから行われる。ここは北緯6度と赤道に近く、静止軌道に打上げを行うには極めて適した場所である。
アリアンはその構成から大きく分けてアリアン1~アリアン4までの第1世代と、アリアン5からの第2世代とに分かれる。
アリアン1~4
3段式ロケットで、各段の概要は次の通り:
- 第1段:ヴァイキングV×4基
- 非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)と四酸化二窒素(N2O4)を用いた液体ロケットエンジン
- 第2段:ヴァイキングIV
- 燃料は2型と同じ
- 第3段:HM7-A・HM7-B(アリアン2~4)
- 液体酸素(LOX)と液体水素(LH2)を用いた液体ロケットエンジン
アリアン1は静止トランスファ軌道への投入質量は1,850kgで、全長50m、全質量207,200kg。
アリアン2はアリアン1の1,2段目の推力を増強し、3段目の推力と燃料搭載量を増したもので、静止トランスファ軌道への投入質量は2,175kg。全長52m、全質量248,300kg。
アリアン3はアリアン2に固体ブースター(PAP)を付加したもので、静止トランスファ軌道への投入質量は2,580kg。
アリアン4は、さらに1段目と3段目の燃料搭載量を増しており、液体および固体ブースターを2本ずつ合わせて4本まで付加可能な構成で、ペイロードに応じて経済的な利用が可能。
最強のアリアン44Lでは、液体ブースター(ヴァイキング5C)を4本搭載し、静止トランスファ軌道への投入質量は4,947kgもある。全長58.4m、全質量240,000~470,00kg。
- PAPは固体燃料ブースター、PALは液体燃料ブースター
- ペイロードは静止トランスファ軌道(GTO)への投入質量
- (*1)但しAriane40は低軌道(LEO)の能力(GTOの打上げ実績なし)
アリアン5
アリアン5は、アリアン4までとは異なり、全く新規に開発された大型ロケット。
フランス及びESAの有人宇宙船計画「エルメス」に用いる予定であったが、ESAが資金難となったことからキャンセルされた。このため商用衛星打ち上げ専用となり、その巨大な打ち上げ能力を生かして大型衛星を複数個同時に打ち上げられることを特徴とする。最初の打ち上げは1996年6月4日の試験機V88で、これは一段目エンジンの制御ソフトウェアの欠陥のため失敗に終わったが、翌1997年10月30日の試験機V101で成功した。最初14回中のうち2回失敗、2回の部分的な成功と不安定であったが、その後、2006年12月8日現在まで16回連続で、合計30回中28回成功(そのうち部分的な成功2回含む)となっている。アメリカのアトラスVとデルタIV、ロシアのプロトン、中国の長征3号、日本のH-IIAなどと宇宙ビジネスを争う大型使い捨てロケット(ELV)である。
注1 - 2001年7月12日に打ち上げたV142(アリアン5型の10号機)は第2段ロケットの推力不足から二つの衛星の静止トランスファ軌道への投入に失敗した。ESAのARTEMISは運用寿命と引き換えに最終軌道への投入に成功したが、日本の(株)放送衛星システムのデジタル放送衛星BSAT-2bは静止軌道への投入ができないため放棄された。一応成功にはカウントしているが、部分的な成功とすべきか。
注2 - 2002年12月11日、能力向上型アリアン5 ECAの最初の打上げ(V157)は1段目のヴァルカン2型エンジンの不具合で失敗に終わった。
- 第1段:ヴァルカン × 1基
- 液体酸素(LOX)と液体水素(LH2)を用いた液体ロケットエンジン。直径5.4m、全長31.6m、推力113,600kgf。
- ブースター:P230 × 2基
- 固体燃料ブースターで、直径3.1m、全長31.6mで、推力は各660,000kgf。
- 第2段:エスタス
- モノメチルヒドラジン(MMH)と四酸化二窒素(N2O4)による液体燃料ロケット。
上記基本構成(Ariane 5G)の場合の仕様は、全長52m、直径5.4m、打上時質量710,000kg、静止トランスファ軌道への投入能力は5,970kg(後に6,200kgまで引き上げ)である。5Gは、2003年9月に最後の打ち上げを行い、5G+に引き継がれた。
- アリアン5Gの改良型
- * アリアン5G+: 2004年に3機のみ飛行した2段目を改良したタイプで静止トランスファ軌道への投入能力は6,950kgであったが、以後は、5GSとECAに引き継がれた。
- * アリアン5GS: 2005年8月に初飛行し。静止トランスファ軌道への投入能力は6,800kg。
- * アリアンESC: 2002年11月に初飛行に失敗し、2005年2月に初めて飛行に成功。1段(バルカン2エンジン)、2段(アリアン4で使用していた液体酸素と液体水素を使うHM-7Bエンジン)、固体ロケットブースタ(P241)を全て改良し、静止トランスファ軌道への投入能力を10,500kgにまで大幅に強化した。
- * アリアン5 ES-ATV: 2008年3に初飛行。国際宇宙ステーションへの物資補給を行うATV(欧州補給機)打ち上げ専用。
関連項目
- 宇宙開発
- ロケット
- 欧州宇宙機関 ESA
- フランス国立宇宙センター CNES
- アリアンスペース
- クールー宇宙センター
外部リンク